ローソンxcottaコラボ
第1弾 佐々木元シェフ
4~7月末の期間中、ローソンxcottaのコラボスイーツが、関東甲信越エリア※のローソン店舗で発売されます。
メニューの共同開発を手がけた、cottaイチオシのシェフ6名の魅力をご紹介するとともに、今回発売する商品やお菓子作りへの思いについてもお届けします。
※茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県(一部店舗を除く)
「濃厚ガナッシュとキャラメルソースのサブレ」
古都・鎌倉、鶴岡八幡宮の参道に佇む、「ラ・ブティック・ドゥ・ユキノシタ・カマクラ」。フランスの雰囲気が漂うシックなお店で、統括を務めるのが佐々木元シェフパティシエです。若くして、フランスで行われる世界大会「ルレ・デセール シャルル・プルースト」に日本代表として出場し、味覚部門1位、総合2位に輝いた実力派。ますます活躍が期待される平成生まれのシェフとして、注目を集めています。
コンクールがきっかけで
磨かれた技とセンスと精神力
三重県にある、創業100年近くの菓子店に生まれた佐々木シェフ。子どものときにはお菓子作りをしたことがなかったそうですが、実家の跡を継ぐことを早くから心に決め、自然とお菓子作りの道に進みました。
「修行時代は決まった作業を繰り返すことが仕事でしたが、コンクールに出場することになり、自身の表現ができることに喜びを感じて、練習に没頭しました」
幼い頃から剣道を始め、その後は強豪校でバスケットボールを続けていたという佐々木シェフ。
「飴などの細工ものは、専門学校に入ってから初めて学びました。器用ではないので、全然できなくって。やってもやってもできないという経験が初めてだったので、悔しくて休憩時間もずっと練習を続けていましたね。
働き始めてから、コンクールに出ることになりましたが、出場するからには上位を目指そうと、練習に励みました。負けず嫌いなんです。
普段、販売用に作るお菓子に飴細工を施すことはほとんどないのですが、限られた時間でより良いものを作り上げるために、精神力が鍛えられたことがコンクールでの大きな収穫だったと思います」
洗練されたお店のショーケースに並ぶのは、派手さはなく、品の良い輝きが心に残る佐々木シェフのお菓子。ケーキをデザインするインスピレーションのもとになるのは、日々の暮らしで出会うものだそう。
「花と葉の美しい関係性を参考にしたり、トップブランドのショーウィンドウのディスプレイに刺激を受けたり。
歩いていて目に止まるもの全てがヒントになります。
いろいろな道具があるホームセンターだって、ヒントの宝の山ですよ」
道具類の収納にも佐々木シェフの美意識が現れています。
固定概念にとらわれない
ユニークな感性がつくる美
「今回のローソンコラボ企画も、私にとって初めての挑戦です。
コンビニエンスストアで展開するお菓子ということで、普遍的に愛される、シンプルでおいしい味で勝負したいと思いました。
『濃厚ガナッシュとキャラメルソースのサブレ』は、サクサクっとした食感のサブレにコンフィチュールキャラメルをかけ、ビターチョコ仕立てのガナッシュクリームを絞っています。
誰もが頭に描きやすい味を目指しつつ、さらにアーモンドを散らして、味に驚きと奥行きを出してみました。噛むごとにナッツの香りが口の中で弾けて、ガナッシュやキャラメルとのハーモニーが楽しめます。
今回は、おうちでも作れるようにアレンジしたレシピにも、楽しい工夫を考えてみました。
生キャラメルショコラのタルト
レシピを見るコラボ商品では細身のサブレですが、アレンジレシピは丸いタルトに。
「キャラメリゼしたくるみをのせたところにガナッシュを詰めます。そこにイタリアンメレンゲを絞るのですが、口金ではなく、抜き型を使ってみました」
あっという間に、メレンゲがこんもりと、王冠のようななんともかわいらしいフォルムになり、取材スタッフ一同から歓声が上がりました。
「絞り出しなら口金、というのが常識ですが、固定概念ほど邪魔なものはないって思うんですよね。
一度にたっぷり絞れて、ユニークな形になる。このアイディア、おうちでも簡単にできるので、おすすめです!」
さらにバーナーで炙ってできあがり。香ばしさとメレンゲのふんわりとした食感が、ガナッシュやキャラメルと相性抜群です。
佐々木シェフのスペシャリテ
「シトリン」
「お菓子の素材で好きなのは柑橘。ゼスト(外皮)を削っている時に、ふわっと漂う爽やかな香りに包まれるのも好きですし、酸味だけでなく、かすかに残るえぐみがアクセントになってくれるところもいいですね。
鎌倉という場所柄、お店には海外のお客様が多いですが、日本ならではの柑橘、柚子も人気ですね。春なら不知火(しらぬい)など、季節や品種ごとに異なる味わいがあるのも柑橘の魅力です」
この日は、レモンを使った佐々木シェフのスペシャリテ「シトリン」の仕上げ工程を見せていただきました。
淡黄色に輝く宝石、シトリンの名前がつけられたケーキ。レモンの爽やかな酸味に、芳醇な香りのラムレーズンとマイルドなホワイトチョコレートを合わせた、ちょっぴり大人な味わいです。
「お菓子を作るうえでいつも大切にしているのが、食べる方が喜んでくださるかどうか。楽しい驚きも感じていただけたらうれしいですね。
当たり前のことなんですが、作業にとらわれてしまうと、大切なこの目的を忘れてしまいそうになることがあるかもしれません。
いつも、お客様の喜ぶ顔を思い浮かべながら作ることを、スタッフにも自分にも、必ず忘れないようにと言い聞かせています」
物心がついた頃から、実家の跡を継ぐことを志していたという佐々木シェフ。
「いずれ地元に戻るときには、誇れるものを持ち帰りたいと思っています」
丁寧に作られるシェフのお菓子からは、素材のおいしさを引き出した絶妙な組み合わせに加えて、誠実さと真心も感じられる温かな余韻が広がります。
撮影/広瀬貴子、松園多聞(外観) 取材・文/singt
1990年三重県出身。東京製菓学校卒業後、「パティスリーキャロリーヌ」「マテリエル」で修行し、両店でスーシェフを務める。2015年、世界への登竜門となる洋菓子コンクール「内海杯」で優勝。2016年にはフランスで行われる世界大会「ルレ・デセール シャルル・プルースト」に日本代表として出場し、味覚部門1位、総合2位に輝く。2022年よりla boutique de yukinoshita kamakura(ラ・ブティック・ドゥ・ユキノシタ・カマクラ)のシェフ、統括に就任。