セイスト瀧島シェフが登場!
プラントベースの紅茶クッキー
cottaのLIVE配信などでもおなじみ! お菓子の世界大会で優勝経験があり、現在は実店舗を構えないながらも、発表するお菓子がいつも大人気の瀧島誠士シェフ。今回は食感と香りのハーモニーが絶妙な、紅茶クッキーを教えていただきました。
プラントベースの紅茶クッキー
レシピを見るマルチな才能でお菓子を
トータルプロデュース
「店を持たないことにこだわりがあるわけではないんです。今は、お店をあけて多くの商品を並べることに縛られずに、提供する商品数を絞り、そこに集中するスタイルでやっています」
原料選びにこだわって生産者さんを訪ねたり、ロゴやパッケージのデザイン、商品の写真撮影なども手掛けたりと、発表するお菓子にまつわることはなんでも、自分の手で行っている瀧島シェフ。
2019年、イタリアで開かれたお菓子の世界大会で、日本チームのキャプテンとして参加。見事、優勝し、チームを世界一に導いた瀧島シェフが、コロナ禍の2021年にチョコレートブランド「Seiste(セイスト)」を立ち上げ、話題を集めました。
百貨店の催事や通販など、限られた場所や期間でしか購入できない瀧島シェフのお菓子。特に人気なのが、洗練されたデザインの缶に、ひとつずつ美しく詰められた極上のクッキーです。
なかなか食べることができない瀧島シェフのクッキーを、今回は特別に、cottaのキッチンスタジオで実演していただきます!
プラントベースフードで
新しい時代のお菓子を
「キャリアのスタートが料理なので、動物性バターじゃないとお菓子の味が出せないという概念が、僕にはもともとないんです。
今回使ってみたのは、大豆生まれの豆乳クリームバター『ソイレブール』の低塩タイプ『ソイレブール ラフィーネ』。日本はまだ出遅れていますが、欧米では、乳製品を使わず、プラント(植物)ベースの材料をお菓子に使うムーブメントが広がっていますね」
伝統的なお菓子が根づく酪農大国のフランスでも、名だたるシェフたちが、プラントベースフードを導入するのが当たり前になっているほど。環境保護や動物福祉の観点から、乳製品を使わず、大豆やアーモンド、ココナッツといった植物性油脂を取り入れるなど、新しい味作りに挑戦する動きが拡大しています。
「業種を超えた仕事仲間たちと話していて、よく話題にのぼるのが環境問題のこと。物を作って売る仕事をする立場としても、環境問題にきちんと向き合って、未来がよい方向に進むよう、真剣に取り組んでいかなければと考えています。
もし、従来のバターを使わなくてもおいしいものが作れるんだったら、ぜひやってみたい!と思い、今回のクッキーを考えました」
軽やかな食感と
爽やかな香りのハーモニー
「ソイレブールは冷凍状態からでもすぐに柔らかくなるので、扱いがラクなのもポイントです。味わいは、従来の動物性バターに比べて軽やか。乳製品特有の力強さがない分、合わせる食材の持ち味をストレートに感じさせてくれるメリットもあります。
その特徴に注目して、香りの高さを感じるクッキーを作りたいと思い、紅茶とコリアンダーをペアリングしてみました。紅茶というと、チャイのようにシナモンを合わせがちですが、香菜の種子を乾燥させたスパイス〈コリアンダー〉を使うことで、上品で爽やかな風味になるんですよ。
ソイレブールとの相乗効果を引き出すために粉の配合にもこだわって、今回は米粉とアーモンドパウダー、さらに小麦粉をミックス。
米粉は『ミズホチカラ』がおすすめ。柔らかな食感を出したいときに使うことが多いですね。コクと風味をいっそう豊かにしてくれるアーモンドパウダーと、サクサクッとした食感になる小麦粉『エクリチュール』を加えて、ソイレブール ラフィーネに混ぜていきます。
材料を次々と混ぜるだけなので簡単です。
薄く延ばしていったん冷蔵庫で休ませ、丸型で抜いて、あとはオーブンに入れるだけ。
米粉を使ったお菓子は焼きたてがおいしいので、ぜひ皆さんも作ってみてくださいね」
お菓子作りだけにとどまらない
枠を超えた新しい表現を
確かな技術を持ちながら、アパレルなど、多方面でのコラボレーションも話題の瀧島シェフ。今後、チャレンジしてみたいことは?
「ひとつには決められないくらい、興味があることがたくさん! 例えば、フードロスに対する問題にも取り組んでいきたいと思っています。農家さんから、出荷できない果物を引き取ってプレザーブにするなど、生産者との橋渡しになるような仕組みづくりを考えています。
実店舗については、いつかオープンさせるかもしれないですし、楽しみに見守っていただけるとうれしいです」
クリスマスやバレンタインなど、いろいろな場所で瀧島シェフのお菓子に出会えるチャンスが目白押し。今後のニュースについては、SeisteのInstagramを要チェックです!
次回は、洋菓子界のレジェンド大森由紀子さんと、cottaでもおなじみの鎌倉・レガレヴ佐藤亮太郎シェフの「シュトーレン」にまつわるエピソードをお届けします。
取材・文/singt 撮影/広瀬 貴子
「帝国ホテル」「アルノー・ラエール」などを経て、2021年に自身のブランド「Seiste(セイスト)」を立ち上げ。国内外の各種コンテストで受賞、2019年、イタリアで開催された製菓の世界大会「The World Trophy of Pastry Ice Cream And Chocolate FIPGC」ではショコラを担当、キャプテンとして日本チームを世界1位に導く。店舗を持たず、枠にとらわれない自由なスタイルで、他業種とのコラボも話題。Instagram @seiste.chocolate