自分も相手も負担にならない
入れるだけの気軽なラッピング
バナナチョコチップマフィン、オレンジのアップサイドダウンケーキ、チーズケーキ……。前回は、一つのマフィン型でできるお菓子をみのすけさんに教えていただきました。今回は、誰かに贈る時のためのラッピングについてのお話です。
入れて封をするだけで様になるラッピング
たくさんできたお菓子を、ちょっとお裾分けしたい。あの日のお礼に、気軽なおやつを渡したい。おもたせに手作りのスイーツを持って行きたい。そんな時に、ふと頭をよぎるのがラッピングのことです。
「お菓子は作るのも食べるのも大好きなんですが、ラッピングをあれこれ工夫するのはちょっと苦手で……」と話す、みのすけさん。お菓子を作って力尽きてしまうこともあると笑います。それでも、誰かに食べてほしいからと取り入れているのは「入れれば見栄え良くなる」ラッピング用品。
たとえば、バナナチョコチップマフィンは、透明の袋に入れて上部にシールをペタリ。
「このシールは、大人っぽいシックな柄なのでとてもいいなと思っています。貼るだけでワンランクアップして見えるので本当に助かるんですよね」
柄は、イギリスのデザイナー・思想家であるウィリアム・モリスによるもの。シールは正方形で中心に折り目があるので、みのすけさんが使ったように袋の上部を閉じるように貼ることができます。もちろん折らずにラベルのように貼り付けても良し。これがあるだけで一気にほどよく贈り物の姿にできます。
相手に気をつかわせず、さり気なく渡せるものを
「渡すときには、相手の負担にならないようにということもよく考えます。私としては、たくさんできてしまってお裾分けの気持ちだったりしても、相手が『お返しをしなくちゃ』と構えてしまうような贈り物にはしたくなくて」とも、みのすけさんは話します。
手作りだからこそ、気軽に誰かに渡して食べてほしい。その思いを叶えてくれるのも、手軽にできるラッピングなのかもしれません。例えば、紙袋にさっと入れるだけでも良し。
「気軽にお渡ししたい時には、箱よりも紙袋を選ぶようにしています。ウィリアムモリスの柄だと、入れるだけで見栄え良く仕上がるので、本当に便利。かしこまらずに渡せるので、ちょっとだけのお裾分けにもちょうどいいなと思います」
底にマチがある舟形なので、安定しやすいのも便利なポイントです。紙袋のサイズに合わせ、透明袋に並べて入れて封をしてから。紙袋の口には穴が空いているので、紐を通してきゅっと縛ればオッケーです。紐にタグを通せば、よりプレゼントらしい仕上がりに。紐が面倒なら、シンプルなタイを通してねじって止めるだけでも様になります。
おもたせとして持ち運ぶ時は、シンプルな箱に
数が多かったり、手土産として持ち運んだりするときには、シンプルな箱を活用しているそう。仰々しくなりすぎず、かといって雑になりすぎず、さりげないおもたせに見せてくれます。
「お菓子同士がくっつかないよう、紙製カップを使います。マフィン型よりも少しだけ底が小さいので、ちょっと指で押して広げてあげるとしっくりきますよ」
底面と側面の境目を広げるように、ぎゅっぎゅっと指で押し広げていくのがポイント。
高さは低くなりますが、底面が広がってチーズケーキにぴったりの大きさに。これにのせて、箱に入れればおじゃましたお宅でもさっとケーキを取り出せますね。
「贈り物としてもう少しだけランクアップさせるなら、柄の入った箱に入れるのもいいですよね。ウィリアム・モリスの箱は、側面には柄がないのがさり気なくておしゃれだなと思うんです。ほどよくランクアップできて、がんばりすぎてない感じもしていいな、と。誰かにお渡ししたいなと思わせてくれる箱です」
大人っぽいシックな柄が素朴な焼き菓子とよく合います。ただ入れるだけで見栄え良く整えられるのが、みのすけさん自身の気持ちも軽くしてくれるのだそう。
できたてのお菓子を、すぐに楽しめるのは手作りならではのこと。さらに、誰かに贈って喜んでもらえるのなら、こんなに嬉しいことはありません。入れるだけで様になるラッピング用品を使えば、自分も相手も気負わずにやりとりができるはず。おいしさを誰かと一緒に楽しむために、ぜひ取り入れてみてください。
次回は、marimoさんに栗のテリーヌについて教えていただきます。
みのすけ(柳谷みのり)さん
1988年生まれ。福岡県在住。菓子製造技能士2級。県内の製菓学校を卒業後、パティスリーや製菓専門学校、企業のメニュー開発などを経て「みのすけ通信お菓子教室」として自身の教室を主宰。動画とLINEによる完全個別指導で、時間と場所に縛られずに受講できる新しいスタイルでお菓子作りを発信している。自由なスタイルに加え、わかりやすく作りやすいレシピが人気に。cottaオフィシャルパートナーとしても活躍している。