地味な姿が愛おしくなる!
夏仕様のクランベリーフィナンシェ
美しいお菓子とシックな世界観の写真が大人気の、料理家 yuka*cm(ユカセンチ)さん。cottaオフィシャルパートナーとしても活躍中のyuka*cmさんに、爽やかさと甘酸っぱさをアクセントにした、夏にうれしいフィナンシェを教わりました。
ドライクランベリーとクリームチーズのフィナンシェ
レシピを見る同じ材料がさまざまに変化する
焼き菓子に魅せられて
小学校低学年のころからお菓子作りが好きだったyuka*cmさんが、ここまでお菓子にのめり込むきっかけになったのは何だったのでしょうか?
「当時放送されていたNHKの教育番組『ひとりでできるもん!』を見るのが大好きで、料理やお菓子を作ることに興味を持ったのがきっかけです。
自分で作る楽しさと、でき上がったものを家族が喜んでくれる嬉しさは、子どものころから味わっていました」
高校卒業後の進路を決める際に、お菓子の道に進むことは考えていなかったというyuka*cmさん。しかし、yuka*cmさんの作るお菓子の一番のファンであるご両親の勧めで、製菓の専門学校へ進みます。
「お菓子といえば、生クリームや果物でデコレーションをしたキラキラした生菓子だというイメージがありました。
でも、専門学校でさまざまなお菓子について学ぶなかで、焼き菓子のおいしさに気づいたんです!
焼き菓子って、バター、小麦粉、卵など、同じ材料を使っても、配合や混ぜ方、型などを変えると、さまざまに変化しますよね。同じものからできているのに、レシピによって味わいも全然違って、それぞれのおいしさがあるところが好きです」
ナチュラルで素朴なイメージのある焼き菓子ですが、yuka*cmさんが作るのは、凛とした雰囲気が漂う、大人っぽい印象の焼き菓子。
「いつも、地味で茶色い焼き菓子を中心に発表していますが、好きなものを自由に作っていい時でも、やっぱり食べたくなる、作りたくなるのは、焼き菓子なんです!」
ていねいな作業の積み重ねが宿る
美しいお菓子
「いつか、お菓子のレシピ本を出したい」という目標に向かって、ブログやインスタグラムを始めたyuka*cmさん。
「お菓子って材料費も時間もそれなりにかかりますよね。だけど、作るときのワクワク感と、上手にでき上がったときの喜びは大きい!
成功したときの嬉しさを味わってほしくて、発表するレシピはできるだけていねいに細かく書くことを心がけています。
私のモットーは『まあ、いっか、をしない!』なんです。ちょっとでも妥協すると必ず仕上がりに表れてしまうから、ひとつひとつの作業をきちんとやる。お菓子を作るうえで、それはとても大切にしています」
焼き菓子なら
手土産にもぴったり!
日持ちがし、個包装にして持ち歩きやすいのも、焼き菓子の魅力。また、気軽にとりかかれる、どんどん混ぜていくだけのレシピが多いのもうれしいポイントです。
今回、yuka*cmさんが教えてくれたのは、クランベリーとクリームチーズを合わせた、フィナンシェ。
「クランベリーの甘酸っぱさと、クリームチーズの爽やかなコクをプラスしたレシピを考えました。
材料は、手に入れやすい、小麦粉やバター、アーモンドパウダーがベースですが、卵白に転化糖(トリモリン)を混ぜて使うのがポイント。
転化糖を入れると、しっかりと濃く茶色になるまで焼き込んでも、生地がしっとりします。しっとりとしたおいしさが長く続くのも特徴です。
冷やしてもおいしいので、夏の手土産にもおすすめですよ」
「フィナンシェといったら、焦がしバター。温度計で測って40℃にし、生地に混ぜていきます。ていねいな作業と、温度管理はとっても大切」
「冷蔵庫で休ませた生地を型に入れていきます。このとき、絞り出し袋を使うと型にきれいにおさまり、無駄も出ません」
「あとは、クリームチーズとドライクランベリーをのせて、オーブンで焼くだけ!」
シンプルなラッピングが
焼き菓子と相性抜群
焼き上がったフィナンシェはケーキクーラーでさましてからラッピングを。
「あくまでもお菓子が主役。私が作るのは地味焼き菓子だから、ラッピングは、お菓子を引き立てるシンプルなものが好きです」
フィナンシェのラッピング
レシピを見るガス袋で個包装したフィナンシェを入れたのは、シンプルなミストグレーの紙箱。それなのに、yuka*cmさんの魔法がかかると、ぐっとシックでおしゃれ!
「ハーブやエディブルフラワーなど、食べられる植物をあしらうのが好きですね。今回は、フレッシュなグリーンを添えたくて、ローズマリーを使ってみました」
作る人と食べる人を思って考えられた、yuka*cmさんならではの細やかなレシピ。ゆったり過ごせる時間に、ひとつひとつの工程を楽しみながら、ぜひ作ってみてくださいね。
次回は、cottaで大人気、”あの”おふたりの夢の対談をお届けします。
取材・文/singt 撮影/田中舘 裕介
料理家。cottaオフィシャルパートナー。日本菓子専門学校卒業後、ケーキ店勤務やパウンドケーキ卸売の共同経営などを経て、現在は企業へのレシピ開発やイベントへの登壇、カフェメニューや地方グルメの監修などで活躍中。2021年に最初の著書『愛すべき地味菓子』を、2023年に『大人の果物菓子』を上梓。