カフェ・飲食店などの店舗経営において、売上高を伸ばすだけではなく、支出を抑えることも重要です。
特に人件費の管理は、店舗の収益性を大きく左右する要素のひとつ。
パートやアルバイトの店舗スタッフは店舗運営に欠かせない存在ですが、利益確保のために人件費はできるだけ抑えたい費用ですよね。
この記事では店舗の商品・サービスの品質を保ちながら、人件費を適切化させるために重要なシフトコントロールについて解説します。
カフェ・飲食店だけではなく、お菓子屋さん、パン屋さんも、基本的な人件費の考え方は同じです。
これから開業される方、シフト作成の考え方についてお悩みの方はぜひ最後までご覧ください。
人件費が経営において重要視される理由
はじめに、人件費管理がなぜ経営の要点となるかを確認していきましょう。
人件費とは?人件費に含まれるもの
「人件費」と聞くとまず「給与」が思い浮かぶかと思いますが、それ以外に含まれる経費をご存じですか?
下記のようなものが人件費に含まれます。
- 給与
- 賞与
- 社会保険料
- 福利厚生費
- 通勤手当
- その他各種手当
※正社員なのかアルバイトなのかといった雇用条件によって異なります。
人件費を単純に「月給」のみで計算していると、「予想していたよりも、残った利益が少ない」といったズレが生じる原因となるので注意が必要です。
店舗の利益を出すために重要な指標「FLコスト」
「FLコスト」とは主に飲食店で使われる指標で、食材原価(Food)と人件費(labor)を合計したものを指します。
一般的な売上に対する比率は以下の通りです。
- 原価(F):売上に対して20~30%
- 人件費(L):売上に対して20~30%
FLコストについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてチェックしてくださいね。
店舗経営に重要な「FLコスト」とは? 適切な管理が成功のカギ
一般的に、売上から見る 経費の内訳として、食材原価も人件費も20~30%程度が目安とされています。
- 原価(F):売上に対して20~30%
- 人件費(L):売上に対して20~30%
例えば月の売上高が200万円の店舗の場合、原価は40~60万円、人件費は40~60万円が目安となります。
店舗の利益確保のために、売上に対してFLコストの合計は60%未満に抑えることが一般的です。
人件費と原材料費は、店舗経営にかかるコストの中でも大きな割合を占めます。
おおざっぱな管理をしていると、利益が圧迫され、経営が立ち行かなくなる恐れがあるのです。
反対にいうと、人件費と原材料費を適切に管理できると、お店の利益向上につながりやすくなります。
FL比率を指標にお店の状態を見て いくと下記のように経営判断できます。
人件費管理は「シフト管理」が重要!
人件費管理は「シフト管理」が重要!
店舗の勤務シフトをどのように調整していますか?
「平日は○人、土日祝は人手を増やして△人」というように、ざっくりとした組み方をしていませんか?
勤務シフトを組むことは、「人件費をどのように使うか」に直結します。
店舗の閑散期・繁忙期はもちろん、時間帯の業務内容なども加味して考える必要があります。
適切なシフト管理が行われていないと、出勤するスタッフが多すぎて人件費が余分に発生したり、反対に人手が足りずに業務が回らなかったりする恐れがあります。
店舗のコストの大部分を占める人件費。
「必要なときに必要な人員を確保する」というシフト管理が、店舗の利益を上げるために重要です。
シフトを組むときは「予算」と「人時売上高」から考える
店舗経営において、人件費は大きな支出項目のひとつ。
経営の安定と利益の最大化のために、予算内で効果的なシフトを組むことが求められます。
ここでは、予算に合わせたシフトの作成方法について詳しく解説します。
月間予算を組んで、人件費予算内でシフトを作成する
最初に、店舗の人件費予算を組み立てましょう。
月間の売上予算に対する人件費率を求め、人件費予算を算出します。
人件費率とは、売上に対する人件費の割合を指し、下記の計算式で算出できます。
先の「FLコスト」で紹介したように、飲食業での一般的な人件費率は20~30%ほどとされています。
人件費率が高いほど、人件費が多くかかっていることになります。
反対に低すぎる場合は人手不足になっている可能性や、給与額が低すぎる可能性がありますので注意しましょう。
算出した人件費予算内に収まるようにシフトを組めば、目標とする利益確保が達成しやすくなります。
「人時売上高」を考慮してシフトを作成する
人時売上高とは、「従業員が1時間働いて得られる売上高」を示します。
人時売上高を使うと
- 人件費が適切かどうか
- 目標の売上高を達成するためのシフトの組み方
が分かるようになり、人件費の適切化に役立ちますのでぜひ活用しましょう。
人時売上高を算出する式は下記の通りです。
総労働時間には、正社員・パート・アルバイト・店長まで、全ての労働者を含めて計算しましょう。
「月間」を「日次」に替えればその日の人時売上高を算出できます。
人時売上高の目標値は5,000円とされていますが、一般的な飲食店では3,000~4,000円以上が平均値です。
平均値を下回る場合は、スタッフの配置が多すぎると判断できます。
人時売上高を活用すると、1日の目標売上高を達成するために必要な人員数がわかるため、シフトが組みやすくなります。
例えば、ある日の目標売上高が10万円で、人時売上高目標を4,000円に設定するとします。
1日の総労働時間=100,000円(1日の目標売上高)÷4,000円(目標人事売上高)
=25時間
つまり、10万円の売上を達成するためには、その日のスタッフの労働時間が合計25時間以内になるようにシフトを組めばよいということが分かります。
人時売上高を考慮してシフトを組めば、余分な人件費の発生を抑え、効果的な人員配置と経営の最適化を実現できます。
このように、月間の人件費予算と人時売上高を考慮することで、利益を圧迫しない経費予算内で効果的なシフトを組むことができるようになるのです。
人件費を適切化!シフト管理の3つのポイント
シフト管理は、店舗の運営をスムーズにし、人件費を適切に抑えるための重要な要素です。
ここでは、シフト管理の基本的なポイントについて解説します。
1. 時間帯で必要なスタッフ数を把握する
店舗の営業時間や繁忙期、閑散期に応じて、必要なスタッフ数は変動します。
最適な人員配置をするために、お店の繁閑状況を把握しておきましょう。
ポイントは、「時間帯」でどれだけの人数が必要なのかを明確にすることです。
時間ごとに必要な従業員数がわかっていない状態でシフトを作成すると、人員の過不足が発生する原因に。
人件費の予算オーバーや、人手が足りずに業務に支障が出る恐れがあります。
過去の売上や来客数のデータに基づいて、必要なスタッフ数を正確に見極めることが重要です。
時間帯の業務内容を考慮した上で必要な人員を配置しましょう。
2. シフトは時間単位で作成する
アルバイト・パートスタッフの場合は、シフトを時間単位で作成することで、スタッフの労働時間を最適化し、無駄な人件費を削減できます。
1日単位でシフトを組むと、繁忙である時間帯に人手が足りず、閑散である時間帯にはスタッフの手が空いてしまうということも。
時間単位で組むことができると柔軟なシフトを作成できます。
例えば、ランチタイムの短い時間帯に集中して来客がある場合、その時間帯にあわせてスタッフを増やすという方法が考えられます。
臨機応変にシフトをコントロールできるため、人件費を効率よく使えるようになるのです。
3. シフトは定期的に見直す
作成したシフトは定期的に見直しましょう。
シフトの人員数に過不足がないかを確認します。
作成したシフトで問題なく業務が回っているか、人が余ってしまってないかを見直し、次のシフト作成に反映させましょう。
また、設定した人件費予算で目標利益が確保できているかの確認も必要です。
あらかじめ組んだ人件費予算と実績を比較して、目標利益額が達成できているかを日々チェックします。
達成できていない場合は原因を探り、翌日の改善にいかしましょう。
まとめ|シフトをコントロールして適切な人件費管理をしよう
人件費は店舗経営で発生するコストの中で大きな割合を占めます。
シフトを管理することは、人件費を「どのように使うか」に直結するため、店舗の利益を確保するためにとても重要です。
適切なシフトを組むために、月間の売上予算に対する人件費率を求め、人件費予算を算出しましょう。
また、人時売上高を考慮すると、シフトがより組みやすくなります。
- 業務の時間帯で必要な人員数を把握しておく
- 柔軟なシフトを組むために、「日」ではなく「時間」で管理する
- シフトは定期的に見直す
上記の3つのポイントを意識し、予算内で適切なシフトを組みましょう。
貴重な人財 を最大限に活用し、効率的に店舗の利益を上げていきましょう。
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