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店舗経営に重要な「FLコスト」とは? 適切な管理が成功のカギ

date
2023/08/24
writer
コッタビジネス編集部
category
コスト管理 > FL管理
お菓子屋さん・パン屋さんで経営を成功させるためには、商品・サービスの質はもちろん大切ですが、経費の管理も重要です。 店舗運営をする上で押さえておきたいのは「FLコスト」の考え方。 あなたのお店ではFLコスト、FLコスト比率を把握して経営にいかせていますか? FLコストを理解していないと、一定の売り上げをあげていたとしても、利益が出ていないという困った状況に陥ることも。
この記事では以下について詳しく解説しています。

  • FLコスト、FLコスト比率とは
  • FLコスト管理がなぜ重要なのか
  • FLコストを適切にするヒント

お菓子屋さん・パン屋さんなどの店舗運営に携わる方は、ぜひ参考にご覧ください。

FLコストとは?店舗経営に重要なFLコスト比率

FLコスト・FLコスト比率とは?

店舗経営をする上では必ずコスト(費用)が発生します。 費用は「固定費」と「変動費」の大きくふたつに分類されます。 固定費と変動費については以下の記事で詳しく解説していますので、参考にご覧ください。 固定費・変動費とは?お店の経営分析に活用するポイント
中でも、お菓子屋さん・パン屋さんをはじめ、飲食店経営においては「FLコスト」が重要視されます。 F(Food)は「食材費」、つまり商品の原価を指します。 単に商品を作るために使用する食材の価格だけでなく、商品をラッピングする包材費も含めた費用です。 L(Labor)は「人件費」を意味します。 人件費は給与の他に法定福利費(健康保険・厚生年金・介護保険・労災保険・雇用保険)も加味して把握しておきましょう。
FLコスト、FLコスト比率を算出する計算式は以下のとおりです。

  • FLコスト=原価+人件費
  • FLコスト比率(%)=(食材原価+人件費)÷売上×100

賃料を加味した「FLRコスト」

FLコストに「家賃」を意味するR(Rent)を加えたものが、「FLRコスト」です。 FLRコストが経営指標に用いられることもあります。 これは、FLコスト以外に発生する経費の中でも、賃料の占める割合が大きいため、併せて考えられているのです。 賃料は固定費であるため、経営者の考えでコントロールできないコストです。 店舗開業する前の段階で、利益を確保する前提で賃料をいくら払えるのかを考えておく必要があります。 FLRコスト、FLRコスト比率を算出する計算式は以下のとおりです。

  • FLコスト=原価+人件費+賃料
  • FLコスト比率(%)=(食材原価+人件費+賃料)÷売上×100

適正なFLコスト比率とは?

では、適切なFLRコスト比率とはどのくらいなのでしょうか? 一般的には以下の数値が目安とされています。

  • F(原価):20~30%
  • L(人件費):20~30%
  • R(賃料):10%

FLコスト比率は50~60%、家賃を含めたFLRコスト比率で70%以下に収めることが理想的です。 お店の経営方針によって異なりますが、基本的にはFLコスト比率が55%以下なら優良、65%を超えると危険水域と判断できます。 FLコスト比率を60%未満、可能であれば55%以下に抑えることが、健全な店舗運営のためには重要です。

FLコストの把握はなぜ重要?

FLコストは、お店の健全運営のバロメーター

なぜFLコスト・FLコスト比率を把握しておく必要があるのでしょうか? その理由はFLコストと利益率が密接に関係しているからです。 お店の売り上げに対して、どれくらいのFLコストがかかっているのかを数値として知ることで、利益率を把握できます。 これは経営者にとって、自身の店舗がどの程度持続可能であるかを把握するための、重要なバロメーターとい言えるでしょう。
例えば、あなたは健康診断を受けて、自分の健康状態を数値として確認しますよね。 診断結果を反省し、食生活を変えてみたり、運動をしてみたり、健康維持のために行動を変えるかと思います。 それと同様に、FLコスト比率を数値として把握することで、お店の健全な運営のために改善策を見出しやすくなります。 FLコストの把握と活用は、店舗運営の基本であり、とても重要なことなのです。

もしもFLコストを把握していなかったら、どうなってしまう?

FLコスト比率を把握することの重要性を、月商200万円のパン屋さんを例に見てみましょう。 このパン屋さんが月の営業利益目標を10%(20万円)に設定したとします。 ある月の経費は以下のような内訳でした。
経費の合計金額が180万円となるため、営業利益は20万円であることがわかりますよね。 そのため、この月は営業利益目標である10%が達成できています。 ある月は、原価がかかりすぎたため、以下のような経費だったとします。
この場合、経費の合計金額が200万円であるため、営業利益が0円になってしまっています。 もしも、どんぶり勘定で経営を行っていて、10%の利益消失に気が付いていない場合、経営難に陥る恐れがあるのです。 FLコストがどれだけかかっているのか、売り上げに対してのFL比率がどのくらいであるのかを数値で把握しておく重要性がおわかりいただけたのではないでしょうか。

できるところから見直してFLコストを管理する

どれだけ売り上げを伸ばしても、FLコストを適切に管理できていなければ、お店の経営は難しくなります。 FLコストをするために必要なことは、 店舗の現状を把握し、見直すことです。 まずは身近ですぐに取り組めるポイントを、FとLのそれぞれで見てみましょう。

食材のロスを減らして原価率を抑える

原価率を抑えるために、すぐに取り組めることは食品ロスを減らすことです。 使用した食材がどれくらい廃棄されているかをチェックしましょう。 例えば、調理時に余りがちな食材があることを把握できれば、仕入れ量を減らす対応ができます。 在庫の消費期限・賞味期限を確認し、古いものから順に使用する「先入れ・先出し」を徹底するだけでもコスト削減につながります。 食材のロスを防ぐには、在庫管理が重要です。 在庫管理についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、参考にご覧ください。 棚卸しの目的・やり方とは?在庫管理を適切化し原価率を改善しよう

店舗オペレーションを見直して人件費を抑える

店舗の業務・オペレーションを効率化することで、人件費を見直せます。 例えば、曜日ごとや時間帯別の売り上げを分析し、どの時間にどれくらいの人手が必要なのかを把握すれば、適切にアルバイトのシフトを組めます。 必要以上の人件費を発生させないことでコストの無駄遣いを防げるのです。

まとめ|店舗の発展のためには適切なFLコスト管理が必須

お菓子屋さん・パン屋さんの経営において、FLコスト管理は避けて通れません。 どんなにおいしくて魅力的なお菓子やパンを作っていても、FLコストを把握していない限り、お店のを継続は難しくなります。 まずはお店のFLコスト、FLコスト比率を把握することから始めましょう。 FLコストが適切な範囲であるかを確認することは、健全運営のバロメーターとなります。 数値を把握することで、より具体的な改善策が見つけられます。 売上高とFLコストのバランスをチェックし、適正な比率を保つことで経営の安定化とお店の成長を目指しましょう。
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