お菓子屋さん・パン屋さん・カフェ・飲食店にとってメニュー・商品はお店の利益に直結する重要な要素。
だからこそ、その開発は力を入れる部分ですよね。
メニュー開発について「何から手をつければいいのかわからない」といった悩みを抱えていませんか?
今回は、メニュー開発の流れを解説します。お店の「売れる仕組み作り」を目的とした商品開発のコツが分かります。
ぜひ最後までご覧ください。
メニュー開発はなぜ必要?
メニュー開発は、マーケティング活動の一部です。
「メニュー開発とマーケティングって関係あるの?」と思われるかもしれませんが、実は密接な関わりがあります。
初めに、なぜメニュー開発に取り組むのかを考えてみましょう。
新規顧客の獲得
常連のお客さまの再来店を促す
客単価を上げて利益を向上させる
など、さまざまな目的が思い浮かぶのではないでしょうか?
どの目的も共通しているのは、最終的に「売上を上げ、店舗の利益を増やすこと」、つまりは
売れる仕組みを作ることです。
マーケティングとは、経営における「売れる仕組み作り」に関する活動の総称。
「どのようなお客さまに、どのような価値を、どのように提供するのか」を考え、商品・サービスが売れる仕組みを構築します。
店舗の利益に直結するメニュー開発は「売れる仕組み作り」の根幹を担うため、マーケティングには欠かせない工程なのです。
マーケティングの基本についてはこちらの記事で解説していますので、参考にチェックしてみてくださいね。
お菓子屋さん・パン屋さんに必須のマーケティングとは?キホンを解説
メニュー開発に取り組む前に考えるべきこととは?
メニュー開発には時間と労力がかかるもの。
せっかく取り組むのですから、利益アップに結び付けたいですよね。
開発するとき、「このメニューを作りたい!」というように、メニューや商品が先行していませんか?
メニュー開発で重要なのは、最初に何のためにメニューを開発するのかという目的を明確にすることです。
開発の目的が定まっていると、今後行う開発業務に一貫性が生まれ、ブレずに作業を進められます。
例を挙げて見ていきましょう。
目的 |
アイデア |
リサーチ |
新規顧客獲得 |
お客さまの間口を広げるために、話題性の高い商品を出そう |
トレンドリサーチ |
常連のお客さまの再来店を促す |
売上が高いメニューのフレーバー違いを出してみよう。市場ではどんな味が人気なのかな? |
ABC分析、市場調査 |
客単価を上げて利益を向上させる |
2セット購入を促す商品を開発しようか、それとも人気商品のサイズアップがいいかな? |
購買状況(客単価、平均購買数など)の分析 |
上記のように目的を明確にすれば、開発のアイデアや必要なリサーチ方法がわかりやすくなります。
目的に合った集客の方法も考えやすくなりますよね。
また、メニュー開発の目的を考える上で「直面している経営の課題が本当にメニュー開発で解決するのか?」という視点も持ち合わせましょう。
新メニュー開発よりも、現状のメニューブックやプライスカード、店頭POPの置き方、商品のディスプレイの仕方などを変えることで売上高が上がるかもしれません。
まずは今のお店の状況を分析し、改善点を見つけましょう。
新メニュー・新商品開発で、お店の新たな武器を増やすことはもちろん大切です。
同時に、既存のメニュー・商品をどのように打ち出せばより利益を上げられるかを考えることも、マーケティングにおいて重要なのです。
メニュー開発の流れ5ステップ
メニュー開発の目的を明確にできたら、開発に取り組みましょう。
基本的な手順は「リサーチ・分析→コンセプト設計→メニュー開発→告知・販売→評価」です。
それぞれの段階について詳しく見ていきましょう。
1. リサーチ
メニュー開発で特に重要なのがリサーチです。
先に解説したように、開発の目的に合った方法でリサーチをしましょう。
マーケティングの基本は「3C」です。
- Customer:お客さま
- Competitor:競合
- Company:自社
「お客さま」「競合店」「自分の店舗」を中心にリサーチ・分析します。
リサーチ・分析を終えたら、集めた情報から、食材や味、見た目、価格などの要素を洗いだし、新メニューの考案にいかしましょう。
2. コンセプトを決める
リサーチ・分析の結果に基づいて、メニューのコンセプトを決定します。
メニューコンセプトは「誰に」「何を」「どのように」という3つの要素で考えましょう。
- 誰に
どのような人に販売するのか(ターゲット)
- 何を
どのようなニーズを満たすのか
何が体験できるのか
- どのように
ニーズをどのような方法・技術で満たすのか
ここで大事なのが、お店本来のコンセプトとの調和を考えることです。
例えば、新規顧客獲得を目的として、トレンドを取り入れた新メニューを開発しても、それが他のお店でも食べられるものだったら差別化ができませんよね。
新規顧客の獲得という目的が達成できない可能性があります。
お店の本来のコンセプトを取り入れ、「あなたのお店から買う理由」を作りましょう。
お店のコンセプトの作り方については、こちらの記事で解説していますのでチェックしてみてくださいね。
カフェ・飲食店成功のヒケツは開店前のマーケティング活動にあり!
3. メニュー開発
メニューコンセプトができたら、実際に販売するメニューの開発に取り掛かります。
- レシピの作成
- 食材の選定
- パッケージの選定
- 原価計算
- 売価設定
- メニュー名の決定(ネーミング)
などを行いましょう。
特に原価率の確認はお店の利益確保のために重要です。
お店で決めている原価率の範囲に収まるようにメニュー開発を行いましょう。
原価率の計算や、費用管理のポイントはこちらの記事を参考にご覧ください。
原価率とは?計算方法や利益を上げる原価管理のポイントを解説
4. 告知・販売
ターゲットが潜在層顧客(店舗の存在を知らない見込み客)なのか、顕在層顧客(店舗の存在を知っている見込み客や既存客)なのかによって、告知方法が変わります。
目的に合わせた告知を行い、販売を促進しましょう。
例えば次のような方法が考えられます。
SNSでの発信:顕在層顧客の注目を引き、来店を促す
Googleビジネスプロフィールでの投稿:潜在層顧客に認知され、来店のきっかけになる
ポスターや看板:商圏エリアの顕在層顧客の来店を促す
店頭POP:来店者(顕在層顧客)に購入を促す
さまざまな媒体を活用し、多くの人に新メニューの存在を告知し、来店や購入を促しましょう。
5. 評価・改善
商品を販売したら終わりというわけではありません。
新メニューがどれだけマーケティングの効果があったのか、データを集めて分析しましょう。
売上高はもちろん、実際に購入したお客さまの年齢、性別、客層などのデータを集めます。
ご購入いただいたお客さまにメニューの感想を伺うのも1つの手です。
販売したメニューを客観的に評価し、必要であれば改善やメニューの見直しをしましょう。
「売れる仕組み作りをする」ということを念頭に、上記5つのステップを踏んで、メニュー開発に取り組みましょう。
売上アップに必須!リサーチ&分析で売れるメニュー開発
メニュー開発の下準備として重要なリサーチ・分析の工程。
必ず押さえておきたい2つをご紹介します。
ABC分析で既存メニューの現状分析
メニューを開発するとき、既存メニューの分析をしていますか?
新メニューをより効果的に打ち出すためにも、ぜひ自店舗の現状分析を行いましょう。
既存メニューの分析に役立つのが「ABC分析」です。
ABC分析とは、メニュー単品を売上高や利益率の順にリストアップし、ABCでランク付けする分析手法です。
売上に貢献しているメニューとそうでないメニューとが分かり、メニューの改廃や改良を考えやすくなります。
- 売上高の軸で「A:良い、B:普通、C:悪い」でランク付けする
- 粗利率の軸で「A:良い、B:普通、C:悪い」でランク付けする
上記2つを掛け合わせて分析する手法を「クロスABC分析」と呼びます。
クロスABC分析をすると、上記のようにメニューを9つのランクに分類できます。
どのメニューの売れ行きがいいのか、利益を確保できているのかを確認しましょう。
Aランクメニューについて、どのような点が評価されているのか分析すると、新メニュー開発にもいかせます。
好調なメニューを知ることは、お客さまのニーズや「売れるポイント」を把握するという点でも役立つのです。
現状のメニューラインアップを考慮した上で、新メニューはどのポジショニングにするのかを考えましょう。
トレンドリサーチでお客さまのニーズや旬の情報をチェック
食のトレンドはお客さまにとって興味をもちやすいポイントとなります。
時代や流行りに合わせてどんどんと変化していくので、話題性のピークを逃さないように最新情報をチェックしましょう。
トレンドを取り入れる際は、自店のコンセプトやブランドイメージを損なわないように注意が必要です。
また、トレンドは移り変わりが早いため、適切なタイミングでの導入と、次のトレンドに対応するための柔軟なメニュー開発が求められます。
トレンドリサーチには下記のような方法があります。
食品業界の展示会やセミナー
展示会では食品関連企業から新しい食材や技術、調理法が紹介されます。
最新のトレンドや流行の予測情報などをいち早くキャッチできます。
cottaではトレンドやシーズンイベントに合わせた情報をお届けしています。
ぜひ定期的にチェックして、メニュー開発の際にご活用ください。
>> 特集ページをチェック
まとめ|目的を明確にすることが売れるメニュー開発のポイント!
お菓子屋さん・パン屋さんなど飲食業に不可欠なメニュー開発について解説しました。
新メニュー開発は、ただおいしいものや新しいものを提供するだけではなく、「何を目的に開発するのか」というマーケティングの視点で考えることが重要です。
目的を定めた上で、「どのようなお客さまに、どのような価値を、どのように提供するのか」とアプローチしていきます。
メニュー開発は下記の手順で行うと取り組みやすくなります。
- リサーチ・分析
- コンセプト設計
- メニュー開発
- 告知・販売
- 評価
新メニュー開発は、お店の魅力やウリを増やすために重要です。
目的に沿った新メニュー開発で、集客や利益アップのチャンスを最大限にいかしましょう。
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