カフェ・飲食店の多くの店舗ではシフト制を採用して、スタッフの勤務時間を決定しています。
シフト作成は時間がかかるため、負担の大きい業務のひとつ。
いざシフトを組むとなっても、イチから考えるのは大変ですよね。
この記事では初めての方でも分かりやすいように、シフト表作成の基本となる「モデルシフト」の作成手順ついて解説しています。
シフト作成をより効率よく効果的にするためのポイントや注意点についても記載していますので、ぜひ最後までご覧ください。
シフト管理の目的は「シフトを組む」だけではない!
「シフト管理」=「シフト表を作成する」と考えていませんか?
もちろん、シフト表を作成する目的もありますが、それだけではないのです。
翌月の勤務シフト表を作成するということは、先を見越して勤務計画を立てるということ。
その月に最適なスタッフを配置し、目標の売上高を達成するのが経営において重要です。
勤務シフトを組むことは、「人件費をどのように使うか」に直結します。
店舗の大事な費用である人件費。
ムダやロスはできるだけ抑えたいですよね。
人件費管理とシフトの考え方についてはこちらの記事で解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
人件費管理のキホン!カフェ・飲食店のシフトの考え方をチェック
シフト管理には以下のようなメリットがあります。
人件費を最適化できる
必要な時間帯に必要な人数のスタッフを配置できます。
過剰な人員配置や、人手不足を未然に防ぎ、余分な人件費の削減につながります。
スタッフの生産性をアップし、売上のチャンスを逃さない
あらかじめ店舗のピークタイムを把握してシフトを組むことで、その時間帯に必要なスタッフ数が配置できますよね。
十分な人員が配置されていると、ピークタイムでも業務がスムーズに回り、生産性がアップ。
売上アップのチャンスを最大限にいかせます。
「店舗の利益を上げる」という目的でシフトを組む業務にあたりましょう。
シフト作成におけるよくある悩み・課題
シフト管理担当者にとって、毎月のシフト作成は悩むところ。
シフト管理を効率化するためにも、どんな悩みや課題があるかを見ていきましょう。
スタッフの希望と実需のバランス
シフトを作成する際は、スタッフの希望の勤務時間や休みを聞き入れましょう。
しかし、必要最低限の人員配置をしなければならないため、全てのスタッフの希望に応えることは難しい場合もあります。
スタッフの満足度を高めるためには、希望と実需を考慮したバランスよいシフト作成が必要です。
人件費の管理
シフト作成の際には、予算内で効率的に人件費を管理することも重要なポイントです。
必要なスタッフの人数を正確に把握し、人件費のムダがないように考慮しなくてはなりません。
売上のピーク時には多めのスタッフを配置し、閑散期には人員を減らすなど、柔軟な対応が求められます。
緊急時の対応
シフト作成時には、緊急時の対応にも注意を払う必要があります。
急な欠員が出るというような、予期せぬ出来事が発生する可能性があるからです。
迅速かつ柔軟に対応できるよう、予備の人員を考慮しておきましょう。
例えば、スタッフの中からリーダーを選定し、緊急時の指揮を任せることもひとつの方法。
日頃からスタッフ同士のコミュニケーションを活発にし、チームワークを高めることも重要なポイントです。
シフトを効率よく組むコツ|モデルシフトを活用しよう
いざシフトを組むとなっても、何を基準にすればいいのか分かりづらいもの。
シフトを組むときの参考となるモデルシフトについて解説します。
モデルシフトとは、シフト作成の際の基盤となる「標準的なシフト」のことを指します。
店舗のアイドルタイムやピークタイムなどの時間帯に基づいて、必要なスタッフ数などを定型化して作成するもので、シフト作成の基本形となります。
例えば平日のモデル、土日祝日のモデル、大型連休のモデルなどです。
モデルシフトを立てることで、日ごとに確保できる人件費を加味した上で、必要なスタッフ数を把握できます。
モデルシフトを作成しておくと、以下のようなメリットがあります。
- シフト作成が効率よく行える
- 売上予算に応じてスタッフを配置し、人件費のロスを防ぐ
- 曜日や時間帯ごとに必要なスタッフ数が把握できる
モデルシフトはExcel(エクセル)やスプレッドシートなどの表計算ツールで作成できますし、アプリや専用ツールもあります。
お店にあった方法で、シフト管理に活用してみてくださいね。
モデルシフトの作成例
モデルシフトを作成する例をご紹介します。
架空のお店「カフェcotta」を例に、人件費予算に基づいてモデルシフトを作ってみましょう。
【例:カフェcotta】
月間売上予算:300万円
目標人件費率:売上高に対して30%
平均時給額:1,000円
定休日:毎週火曜日(※月に25日営業)
モデルシフトを作る流れは以下の通りです。
- 月間総労働時間予算を算出する
- 週間総労働時間予算を算出する
- 曜日別予算を算出する
- スタッフの人数を決定し、モデルシフトを作る
順番に見ていきましょう。
ステップ1. 月間の総労働時間予算を算出する
いきなり日ごとの予算を立てるのは難しいため、最初に月間総労働時間を計算します。
月間予算→週間予算→曜日ごとの予算という順番で考えていきましょう。
月間の総労働時間予算は以下の式で計算できます。
- 月間総労働時間予算=売上予算×目標人件費率÷平均時給単価
カフェcottaの場合に当てはめると、
月間総労働時間予算=3,000,000(売上予算)×0.3(人件費率予算)÷1,000(平均時給単価)
=900時間
900時間だと算出されました。
ステップ2. 週間総労働時間を計算する
次に、週の総労働時間を計算しましょう。
週間総労働時間予算は下記の式で算出できます。
- 週間総労働時間予算=月間総労働時間÷月間営業日数×週の営業日数
カフェcottaの場合、月間総労働時間が900時間、この月の営業日数は25日です。
週間総労働時間=900(月間総労働時間)÷25(月間営業日数)×6(週の営業日数)
=216 時間
週間総労働時間が216時間だと分かりました。
ステップ3. 曜日別の予算を算出する。
平日と土・日・祝日 など、曜日によってお店の繁閑の差や売上の差がでますよね。
各曜日の売上比率を算出し、曜日別の予算を割り出しましょう。
曜日別の売上比率は下記の計算式で算出できます。
例えばカフェcottaの土曜日の売上高が15万6千円で、平均の売上高が12万円の場合、以下のように計算できます。
156,000円÷120,000円=1.3
土曜日の売上比率は1.3であることが分かります。
他の曜日も同様の手順で売上比率を調べ、下記のようになったとします。
曜日別売上比率が分かれば、日別総労働時間の算出が可能です。
- 日別総労働時間=週間総労働時間÷週の営業日数×曜日別売上比率
ステップ2でカフェcottaの週間総労働時間を算出したところ216時間でした。
月曜日を例に見ていきましょう。
日別総労働時間=216時間(週間総労働時間)÷6(週の営業日数) ×1.0(月曜日の売上比率)
=36.0
月曜日の総労働時間は36時間であることが分かりました。
他の曜日についても同様に予算を算出すると、以下の通りになりました。
ステップ4. 日別総労働時間からスタッフの人数を決める
算出した日別総労働時間に基づいてシフトパターンと時間帯別のスタッフ数を決めましょう。
日別総労働時間が近い曜日をパターン化します。
カフェcottaの場合は下記の3パターンのモデルができました。
- 土・日曜日:モデルA
- 月・金曜日:モデルB
- 水・木曜日:モデルC
店舗の繁閑状況に基づいて、各モデルのスタフの配置パターンを決めます。
過去の売上データの分析や、店舗の混雑度を記録し、店舗の繁閑状況を把握した上でモデルシフトを作成しましょう。
注意したいのは、あくまでも日別総労働時間は目安であるということ。
平日と土・日・祝日で売上比率が大きく異なる場合、日別総労働時間のみを基準にシフトを組むと、平日はスタッフ不足、土・日・祝日は過剰人員というモデルシフトになりがちです。
日別総労働時間に基づいてモデルを組み、店舗の営業に支障が出ないかをシミュレーションした上でモデルシフトを決定しましょう。
モデルシフトに基づいてシフトを組むときのポイント
モデルシフトに基づいてシフトを作成する際のポイントを確認しましょう。
シフト作成後、月間の適正人件費率に収まっているかをチェック
実際にシフトを組み終わったら、使用予定の月間人件費が目標人件費率に収まっているか確認しましょう。
人件費率=人件費÷売上予算×100
上記の式に当てはめると人件費率が算出できます。
店舗が目標とする人件費率に収まっていない場合はシフトを組みなおし、目標とする人件費率に収まるように調整しましょう。
スタッフのスキルを把握しておく
必要な人数だけに着目してシフトを組むと、業務が回らない可能性が出てきます。
スタッフひとりひとりのスキルを把握した上でシフトを組むことが大事です。
例えば、新人スタッフが勤務する時間帯には、サポートができる先輩スタッフを一緒に配置するというように、スキルのバランスが取れたシフトを組みましょう。
スタッフの教育時間もシフトに組み込む
新人スタッフに対しては、教育や研修にかかる時間の確保が必要です。
月間総労働時間予算とは別で設定しましょう。
はじめに教育を適切に行えば、スタッフのスキル向上や仕事の幅が広がるスピードが速くなります。
結果的にスタッフひとりひとりの業務効率アップにつながるのです。
反対に教育をおろそかにした場合、スタッフが育たず、人数がそろっていても業務が回せないといった困った状況になりかねません。
離職の原因になることも。
モデルシフトを基に教育時間を加味したモデルも作成しておくことがおすすめです。
休憩時間を確保しているかをチェック
休憩時間は労働時間に応じて付与が義務付けられています。
また、休憩時間は労働時間には含まれません。
休憩時間を加味してシフトを組みましょう。
実働6時間以上の場合は最低45分間、実働8時間以上の場合は最低1時間の休憩が必要です。
どの時間帯・タイミングで休憩に入るかをスタッフと共有しておきましょう。
まとめ|モデルシフトを活用し、人件費を効果的にコントロールしよう
シフト作成は人件費を有効的に使うため、店舗の利益を確保するためにも重要な業務です。
より効率的かつ効果的にシフト作成するために、お店のモデルシフトを作成してみましょう。
モデルシフトは下記のステップで作成できます。
- 月間総労働時間予算を算出する
- 週間総労働時間予算を算出する
- 曜日別予算を算出する
- スタッフの人数を決定させ、モデルシフトを作る
実際にシフトを作成するときは、スタッフひとりひとりのスキルのバランスをみて配置しましょう。
新人スタッフがいる場合は教育時間を考慮した上でシフトを組むと、スタッフ全体の働きやすさにつながります。
また、モデルシフトで運用してみて、改善していくことも大事です。
シフトを適切にコントロールし、お店の人件費を有効に活用していきましょう。
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