はじめまして。このたびご縁があってコラムを執筆させていただくことになりましたaoiです。
幼少の頃からパン屋さん巡り、お菓子作り、レシピ本を読むことが好きでした。学生時代に手作りパンに魅了され、以来作り続けています。
長年パンやお菓子が好きで、時には学校や教室に通って学び、お家で試行錯誤を繰り返し、作り続けてきた私ならではの視点でお伝えできればと思います。
パン生地を発酵させすぎると…?
気温が上がってきて、パン作りにおいて過発酵になりやすいこれからの季節。
過発酵とはどういう状態なのでしょうか?
また、過発酵になってしまったパン生地は焼くとどうなるのでしょうか?
「パンの発酵」ってどういうこと?
「発酵」は、酵母(イースト)が糖を取り込んで、炭酸ガスとアルコールを発生させること。
発生した炭酸ガスは、気泡となってパン生地を押し広げて全体を膨らませます。
この気泡を取り囲むためには、パン生地中にグルテンという膜が必要です。
グルテンというのは小麦粉のタンパク質からできていて、小麦粉に一定量の水分を加えてよくこねるとできます。
グルテンは生地中に網目状に広がって、次第に層になって薄い膜を形成します。
この膜が気泡を取り囲むようにして広がり、生地全体が膨らんでいきます。
ですから、よくこねてしっかりしたグルテンの膜を作れば、しっかり膨らんでふんわり弾力のあるパンができます。
過発酵とは
「過発酵」とは、パンの発酵が進みすぎてしまった状態のこと。
発酵時間が長すぎたり、パン生地の温度が高くなりすぎると起こります。
過発酵になってしまったパン生地は、膨らみすぎて表面に気泡が浮いてでこぼこになります。また、生地が緩んで弾力がなくなり、指で押すと空気が抜けてしぼんでしまいます。
過発酵になってしまったパンを焼くとどうなる?
パン生地が緩み切って形成する力が弱くなっているので、しわが寄ったり潰れたり、陥没したりします。
また、生地の中の糖分が分解されすぎて少なくなっているので、パンに甘みがありません。糖分が少ないことで焼き色も付きにくくなります。
そして、酵母(イースト)が働きすぎて炭酸ガスとアルコールが過剰発生しているので、酸味のあるイースト臭とアルコール臭が強くなります。
クラム(パンの中身)は気泡が入って粗く、パサパサした食感です。そして冷めるとすぐに固くなります。
過発酵を防ぐには?
酵母(イースト)は、25℃以上になると働きが活発になるので、夏は気温が高く過発酵が起こりやすくなります。
一度、過発酵になってしまうと後戻りができないので、あらかじめ過発酵にならないように気を付ける必要があります。
例えば、材料を冷蔵庫に入れて冷やす、仕込み水に冷たい水を使う、など生地の温度を下げる工夫をします。
また、イーストの量を減らす、仕込み水を減らす、発酵時間を少し短くする、なども効果的です。
発酵の見極めのポイントは?
まずは、パン生地を目で見て確認します。
十分に膨らんでいることが発酵完了の目安です。
しかし膨らみすぎはNG。表面に気泡が出て、生地が緩んでいる場合は過発酵です。
また、生地を手で触って確認することもできます。
パン作りでは、一次発酵と二次発酵をします。それぞれの適正な発酵状態を見極めるポイントを押さえましょう。
一次発酵
一次発酵は、こねた後で行います。
酵母(イースト)が活動しやすい環境で、パン生地をより膨らませるようにすることが目的です。
一次発酵に最適な温度は30〜35℃です。
しかし、発酵時間が長いほど生地が熟成してパンに独特の香りや風味を生み出すので、低温で長時間発酵させることもあります。
発酵時間は、イーストの量と温度によって決まります。
発酵完了は、時間よりも生地の大きさが約2〜2.5倍になることで判断します。
一次発酵の完了を生地に触って確かめる方法が「フィンガーテスト」です。
人差し指に小麦粉をつけて、生地に第二関節まで入れます。
指を抜いて、穴がほとんど戻らないようであれば、発酵完了です。
穴が押し戻されるような弾力があれば、発酵不足。空気が抜けてしぼんでしまう場合は過発酵です。
一次発酵の段階で過発酵になってしまった場合は、薄く伸ばしてピザにするとおいしく食べることができます。
二次発酵
二次発酵は成形した後で行います。
酵母(イースト)の活性を最大にしてガスを多く発生させ、焼成時に生地の膨らみを最大にすることが目的です。
二次発酵の最適温度は35〜40℃で、一次発酵より少し高くなります。これは、イーストが最も活性化する温度が37〜38℃だからです。
二次発酵は、生地の膨らみが最大になる一歩手前がベストな状態です。
発酵完了は、生地の大きさが約2倍になることで判断します。
二次発酵の完了を生地に触って確かめる方法は、人差し指でパン生地の目立たないところを軽く押します。
生地が押し戻って、指の跡が少し残る程度が発酵完了。
跡が完全に戻れば発酵不足、跡がしっかり残れば過発酵です。
動画でおさらい
まとめ
過発酵の原因や対策を知ればもう怖くありません。
夏のパン作りも楽しみましょう。