北インド地方の主食・チャパティ
日本でインドカレーのお店に行くとナンが出てくることが多いですよね。
ナンは北インド地方の主食ですが、他に「チャパティ」という主食もあります。
チャパティを作るとき、本来は「タワー」と呼ばれる専用の調理器具が使われますが、普通のフライパンでも焼くことができるんですよ。
今回はおうちで簡単に作れるチャパティのレシピをご紹介します。
チャパティとは
チャパティとは、インドをはじめ南アジア付近で食べられている、全粒粉を使った平たい無発酵パンのこと。
チャパティ用の全粒粉は「アタ」と呼ばれます。
チャパティは「ロティ」の一種。
ロティとは、南アジアやアフリカ諸国などで一般的に食されている、小麦粉を使った無発酵パンのことです。
ロティには「パン」という意味がありますが、その中でも全粒粉を使ったものが「チャパティ」という名称になります。
「チャパ」は「平たい」「薄い」という意味の言葉が由来なのだとか。
ナンとの違い
ナンは精製された小麦粉を使用し、発酵させて作ります。ふっくら、もちっとした食感です。
「タンドール」と呼ばれる専用の窯で焼かれますが、インドで大きなタンドールを持つ家庭は多くありません。
また、精製された小麦粉も高価なため、ナンは「買って食べる高級品」という位置付けです。
一方チャパティは全粒粉を使用し、発酵させずに作ります。やわらかい食感でありながら、薄くてカリッとした部分もあり、素朴な味わいです。
材料が少なく、平らな鉄板さえあれば焼けるため、日常的な家庭料理として食べられています。
チャパティのレシピ(約13cmのもの4枚分)
フライパンで手軽に作れるチャパティのレシピをご紹介します。
材料
- 全粒粉…60g
- 水(30℃程度)…40g
- 塩…0.4g
- 無塩バター(仕上げ用)…適量
作り方
- 全粒粉と塩を混ぜ、水を加えてゴムベラやカードでなじませる。粉気がなくなったら台に取り出し、なめらかになるまで手でよくこねる。
*水温が低すぎると粉となじみにくく、こねにくくなります。
- ラップに包み、20~30分間ほど休ませる。
- 4等分し、それぞれ直径13cm程度に丸くのばす。
*厚みはできるだけ均一に。べたつく場合は、めん棒や生地に打ち粉(強力粉)をはたいてください。
- フライパンに油を引かずに生地をのせ、中火で熱する。生地全体の色がやや濃くなり、裏面に薄く焼き色がついたら返す。
*油を使っていないので焼き色はあまり濃くなりません。火加減が弱すぎると膨らまない原因に。はじめから強すぎても膨らむ前に焼き固まってしまったり、焦げたりするので注意。
- 返した面にも薄く焼き色がついたら再度裏返し、火を少し強める。ぷくーっと膨れて気泡が入ったら、軽く押さえつつ両面全体を焼く。
*返してすぐに膨れ始めたら、火加減はそのままでOK。
- 火を止めて、表面にバターを落として塗り広げる。
*本来は「ギー」と呼ばれるヤギ乳のバターを塗ります。 - 完成。
保存方法
焼いたチャパティは乾燥してかたくならないよう、ケーキカバーで覆っておくなど工夫しましょう。
食べきれない分は1枚ずつラップに包み、保存袋に入れて冷凍庫へ。食べるときにレンジやトースターで軽く温めてください。
レシピのポイント
チャパティをおいしく作るコツをご紹介します。
必ず生地を休ませる
こねてすぐに成形すると生地がのびにくく、厚みにムラが出てしまいます。
休ませることで粉と水がなじみ、手触りがよりなめらかになり、のばしやすくなりますよ。
生地を休ませる時間について
暖かい時期は短時間で生地がなじみやすいですが、気温が低いと少し時間がかかります。
水温によっても変わります。寒い季節はやや長めに30分間ほど休ませてみてください。
おすすめの焼き方
ガスコンロで作る場合におすすめしたいのが、仕上げに焼き網を使って直火で焼く方法。
両面を焼いたあと、本場では最後に強めの直火で炙って膨らませます。
ただし慣れない作業だと慌てやすく、トングや箸から滑り落ちてしまうことも。チャパティに火がつくと危険です。
網を置くと安定するので安心。直火に当たっても短時間であればそんなに焦げませんよ。
微粉砕全粒粉を使う場合
パン用などに販売されている微粉砕タイプの全粒粉を使う場合は、吸水率が変わるためこねにくくなります。
今回ご紹介した配合の場合、水を1割増やし、植物油を小さじ1/2ほど加えることでこねやすくなりますよ。
作り方は同様でOK。見た目も味も同じように仕上がります。
おいしい食べ方
チャパティをおいしく食べるアイデアをご紹介します。
カレーに添えて
北インド地方のカレーは乳成分や油分が多く、濃厚な味わいが特徴。
バターチキンのようにまろやかでコクのあるカレーと好相性です。
トルティーヤとして
サルサやタコスミートを巻くとタコスに。
ピザ風にアレンジ
トマトソースを塗り、具やチーズを散らしてトースターで焼きます。
クリスピーピザのような食感で、おつまみにぴったり。
スパイス料理と相性抜群のチャパティを作ろう
今回のコラムでは、北インドの主食チャパティについてご紹介しました。
チャパティが膨らむ瞬間は何度見ても飽きません♪
コツをつかむまでは練習が必要かもしれませんが、もし膨らまなくても適度に火が通っていれば美味しく仕上がるので、気軽に挑戦してみてくださいね。
カレーはもちろん、さまざまなインド料理やスパイス料理とあわせて楽しみましょう。