スマートフォンの普及とともに、ここ数年でSNSを利用する人の割合も増えてきました。
SNSはコミュニケーションツールとしてだけではなく、店舗集客や販促施策実施にも活躍してくれます。
その一方で「自分の店でもチャレンジしたいけれど、ハードルが高い」と感じ、SNSの運用を踏みとどまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事ではお菓子屋さん・パン屋さん・カフェなどの飲食店がSNSを活用するメリット・デメリット、主要なSNSの特徴、SNSを始めるステップや集客を成功させるコツについて解説します。
SNSはお店の力強い味方になってくれます。
上手に活用して、店舗経営を盛り上げていきましょう。
飲食店とSNS集客
SNSとはSocial Networking Service(ソーシャルネットワーキングサービス)の略で、サービスに登録した人同士が、インターネット上で交流できる仕組みのことです。
スマートフォンの普及とともに、SNSも日常生活になくてはならない存在となりつつあります。
そんなSNSは飲食店の集客ツールとしても使用されています。
下の円グラフは
株式会社シンクロ・フード(https://www.inshokuten.com/research/company/)が実施した飲食店向けアンケートで、飲食店がSNSを集客に活用している割合を調査したものです。
飲食店.COM(株式会社シンクロ・フード)調べ
引用元:
飲食店リサーチ
8割を超える店舗が集客方法としてSNSを活用しており、その普及率の高さがうかがえます。
飲食店がSNSを活用した方がよい理由・メリット
飲食店でSNSを集客の手段として活用するメリットは次のようなことが挙げられます。
導入や運用が低コスト
SNSは無料もしくは低コストで導入や運用ができます。
InstagramやX(旧Twitter)などのSNSは基本的に無料で使用できます。
アカウント作成や投稿、分析などの便利な機能も費用が発生しません。
LINE公式アカウントは有料プランを使う場合もありますが、比較的低コストで運用できます。
初期費用を抑えつつ、集客に力を入れられるのは経営において大きなメリットですよね。
幅広い人にアプローチできる
SNSは拡散力が強いのがメリットのひとつです。
高い関心を引く投稿では「バズる」こともあり、爆発的に情報が広がる可能性も。
店舗からの発信だけではなく、実際に店舗を利用したお客さまがクチコミとして情報を広めてくれることもあります。
情報が拡散されることで、店舗のことを知らない人が店舗の存在を認知したり、情報をきっかけに店舗へ来店したりすることもあるでしょう。
お客さまとコミュニケーションが取れる
SNSはコミュニケーションツール。
顧客と店舗・企業とが直接、双方向でのやりとりができる特徴があります。
SNSのコメント欄を通じてコミュニケーションを取り、お客さまとの関係性を深めることができます。
DMで直接やり取りする、アンケートを取るなど、活用方法はさまざま。
お客さまの意見を基に商品・サービスの改善や販促施策の実施などができれば、さらなる集客につながるでしょう。
いつでも発信できる
SNSはスマートフォンさえあれば、いつでも投稿できます。
お店の状況を撮影してすぐに投稿すれば、リアルタイムでの発信が可能です。
仕込みの様子や期間限定メニューなどを投稿すれば、即日集客につながるケースもあります。
急な営業時間の変更や、商品売り切れのお知らせなども発信できるので、常にお客さまに最新情報を提供できる点がメリットです。
飲食店がSNSを使うときの注意点・デメリット
SNSは便利な一方、危険を伴うこともあります。
SNSを利用する場合の注意点やデメリットについて確認しておきましょう。
炎上のリスクがある
SNSでの発信は手軽で便利な面もありますが、炎上や誤情報が拡散されるリスクがあることは常に頭に置いておきましょう。
SNSは拡散されやすいため、発信元の情報が削除できたとしても、投稿内容をコピーされた場合はそこから拡散される可能性があります。
一度拡散された情報をインターネット上から完全に削除することは難しいです。
また、炎上リスクは店舗のアカウントだけではないことにも注意が必要です。
近年飲食店で多く見られるのは「バイトテロ」といった、店舗従業員の個人アカウントからの投稿がきっかけで炎上が起こるケースです。
勤務先でのいたずらが投稿・拡散されて炎上し、閉店する店舗も過去にありました。
店舗側での発信ではなくとも、結果的にお客さまが不信感を持つことが炎上につながるリスクといえます。
そのため、SNSを始める際は、最低限のSNSやITについてのリテラシーを身につけておきましょう。
それぞれのSNSには独自のルールや仕組みがあるので、利用規約やガイドラインを把握し、正しい利用を心がけましょう。
また、プライバシーやセキュリティに関する知識も必要です。
SNSは人と人とのやりとりですので、コミュニケーションマナーにも気を配りましょう。
批判的なコメントや攻撃的な言動に対する対応策をあらかじめ決めておくとよいでしょう。
すぐに集客効果は得られない
SNSの運用を開始したとしても、すぐに集客や売上アップにつながるわけではありません。
集客の成果が出るまでには時間がかかる傾向があります。
SNSのアカウントを開設したあとは、すでに認知してくれているユーザーや既存顧客などからのフォローが期待できます。
一方で新規ユーザーの獲得に関しては、既存ユーザーによる共有や拡散が必要になるため、時間がかかる場合が多いです。
チラシや広告のように即集客につながるツールではないことを頭に置いておきましょう。
SNS集客を行う際は、長期的な目線で考え、継続的な運用が必要です。
SNS運用は成功すれば、高い集客効果と売上増加を期待できます。
成果を焦らず、じっくりと時間をかけ、アカウントを育てる姿勢が大切です。
飲食店の集客・販促に役立つSNS|特徴別に紹介
SNSを運用する際は、すべてのSNSを同じように扱うのではなく、ターゲットや目的に合わせたSNSを選び、使い分けることが大切。
SNS運用には時間や手間がかかるため、初めから全てのSNSに手を付けるのではなく、どのSNSを使うのかを選択し、できるところから始めましょう。
下の表は、総務省が行った「
令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 」で公開された、「主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率」です。
各SNSの世代別利用率がわかります。
世代によってSNSの浸透の度合いが異なることを頭に置いておきましょう。
ここからは、飲食店で活用される主なSNSである
- Instagram
- LINE公式
- X(旧Twitter)
- Tick Tock
- Facebook
上記5つの特徴について解説します。
運用するSNSを選ぶときに参考にしてくださいね。
Instagram
Instagram(インスタグラム)は、主に10代〜30代を中心に人気のある写真や動画の共有ソーシャルメディアプラットフォームです。
特に女性の利用率が高く、「インスタ映え」といわれるような美しい写真が人気の傾向にあります。
ハッシュタグ機能で検索しやすく、拡散もされやすいため、店舗集客の強い味方となります。
シズル感のある表現も好まれ、飲食店とは相性のよいSNSといえるでしょう。
インフルエンサーによって情報が拡散されやすいのも特徴のひとつです。
LINE公式
LINE(ライン)は、モバイルメッセージングアプリで、ユーザー同士のメッセージのやり取りや音声通話、ビデオ通話などを提供しています。
国内では幅広い年齢層が利用しているのが特徴です。
「公式アカウント」の機能があり、店舗・企業と顧客とのつながりを深めることもできます。
注意点は、LINEは新規顧客獲得には不向きなところです。
LINEはお客さまに「友だち登録」してもらうことで情報発信ができるようになります。
店舗のことを全く知らない、潜在顧客層には情報を届けられません。
LINE公式はリピーターや常連客の集客に効果を発揮します。
定期的に情報を発信することで、お店の存在を思い出してもらうツールとして有効です。
クーポンの配信や、LINE上でポイントカードを作成できる機能もあります。
リピート率を高める、お店のファンを増やすという目的にはとても心強いSNSでしょう。
X(旧Twitter)
X(エックス)は短いテキストを共有するSNSで、若年層を中心に使われています。
リアルタイムの情報共有・拡散がされやすく、「いいね」やリポスト機能で、直接つながりのないユーザーにも情報が伝わりやすいのが特徴です。
「バズる」という言葉があるように、発信内容に注目が集まるといろんな人に拡散され、一気に認知度が高まる可能性もあります。
情報拡散力にたけているため、キャンペーンやイベントの告知といったリアルタイムの情報から集客へつなげたい場合はXの利用が向いている場合もあります。
TikTok
TikTok(ティックトック)は、ショート動画の作成や投稿、閲覧ができるSNSです。
特に若者を中心に人気で、10代から20代のユーザーが多く利用しています。
TikTokはクリエイティビティを重視するSNS。
ダンス動画のイメージが強いですが、実は料理動画やカフェ・レストラン紹介動画なども人気ジャンルです。
TikTokは、15〜60秒の動画でお店の雰囲気や商品・メニューの魅力を訴求できます。
写真では伝えきれない魅力を伝えられるのが動画のメリットです。
また、投稿された動画が他のSNSに引用され、拡散されるケースもあります。
若者世代をターゲットに集客する場合は活躍するSNSといえるでしょう。
Facebook
Facebookは比較的に男性ユーザーの多いSNSです。
40~50代がメインのユーザー層となっています。
他のSNSと異なり、Facebookは実名登録制なため、信頼性が高いといえます。
また、予約システムが活用できるため、直接集客ができるという特徴もあります。
Facebookは実名登録制ゆえに、リアルな人間関係が反映されます。
知人から知人へとお店の情報がつながり、新規顧客獲得につながるケースもあるでしょう。
FacebookはInstagramと連携が可能です。
Instagramをメインに運用し、その投稿をFacebookにも掲載することで、集客の間口を広げる効果が期待できます。
SNSを始める5ステップ
飲食店でSNS運用を始める手順をステップごとに紹介します。
STEP1. 目的を決める
はじめに、なぜSNSを運用するのか、目的を設定します。
具体的な目的を決めることで、SNS運営の方向性にブレがなくなり、行動しやすくなります。
たとえば下記のような目的が挙げられるでしょう。
- ブランド認知度を向上させたい
- 集客に役立てたい
- お客さまとの関係を構築したい
最初の段階で目的を決めておくと、計画を立てる際に一貫性が保てます。
STEP2. ターゲットを決める
ターゲット設定はマーケティングで用いられる手法で、商品・サービスを購入してもらいやすい顧客層を決めることです。
ターゲット層を絞ることで、どのSNSを選ぶのか、発信や投稿内容などを適切に調整できます。
ターゲットを決めるには、以下の項目を考えてみましょう。
できるだけ実在するようなペルソナを設定するのがコツです。
実際のお客さまの中から「店舗の理想の顧客」に近い方を選び、ペルソナ設定に活用すると考えやすくなります。
マーケティングやペルソナ設定についてはこちらの記事で解説していますので参考にご覧ください。
カフェ・飲食店成功のヒケツは開店前のマーケティング活動にあり!
STEP3. 運用するSNSを決める
目的・ターゲットに合わせて適切なSNSを選びます。
下記の表は、前章で紹介した各SNSの特徴をまとめたものです。
SNSを選ぶ際の参考にしてくださいね。
SNS/th>
| ユーザー層 |
特徴 |
Instagram |
20~30代
女性が多い
|
・画像や動画投稿などのビジュアルでの訴求がメイン
・DM、ライブ配信、ストーリーズなど機能が多い
・ハッシュタグ検索機能で検索されやすい
|
LINE |
10~60代と幅広い年齢層が利用 |
・リピーター獲得に向いている
・配信内容を見てもらいやすい
・クーポン機能やショップカードなどの機能がある
|
X(旧Twitter) |
20代が多い |
・若年層の集客に向く
・拡散力が強い
・「バズ」が生まれると、認知度が一気に拡大する
・リアルタイムの発信に優れる
|
TickTock |
10代が最も多い |
・ターゲットが若年層の場合効果的
・動画なので視覚的に伝えやすい
・他のSNSに拡散されやすい
|
Facebook |
40代が多く、10代が少ない |
・40代以降、中高年層ユーザーが比較的多い
・実名登録制のため、信頼度が高い
・Instagramと連携が可能
|
STEP4. 運用計画を立てる
SNS運用を開始する前に、運用計画を立てておきましょう。
など、具体的な計画を立てます。
店舗の販促計画も考慮した計画を立てるとよいでしょう。
SNS運用をスケジュールに落とし込むことで、挫折しにくくなるというメリットもあります。
販促計画の立て方についてはこちらの記事で解説しているので参考にしてくださいね。
目標達成を実現!年間販促計画の立て方・ポイントを徹底解説
STEP5. 運用を開始し、継続投稿と分析・改善をする
計画に基づいて運用を開始します。
SNS運用は投稿して終わりではありません。
投稿に対する反応を分析し、改善を繰り返すことで発信内容の品質が上がり、成果につながりやすくなります。
目標を達成し続けるためには運用を継続し、「PDCAサイクル」を回すことが重要です。
SNSで集客を成功させるポイント
最後にSNS運用を成功させるポイントやコツについてご紹介します。
運用するときの参考にしてくださいね。
継続して運用する
InstagramやXなどのSNSは、定期的に発信しないとアカウントの閲覧率が下がったり、フォロワーが減ったりします。
集客を成功させるためには継続的な運用がカギを握ります。
短期にいくつも投稿するよりも、1日1回、週に1回など定期的に投稿することが、フォロワー離れ防止に効果的です。
ひとことで「投稿」といっても、
- 投稿するネタを決める
- 写真や動画の準備
- 文章を考える
- 投稿を作成する
などの作業が発生します。
そのため、無理のない範囲で投稿ペースを決める、SNS運用担当者を決めるなど、継続できるようにあらかじめ運用方法を決めておくことがおすすめです。
お客さまとのコミュニケーションを大切にする
SNSはコミュニケーションツールのひとつです。
一方的に情報発信や宣伝するだけではなく、ユーザーとのコミュニケーションを大切にしましょう。
SNSでのやりとりも接客の一部です。
対面でお客さまに接する気持ちで、良質なコミュニケーションを心がけていれば、自然とアカウントの印象はよくなるでしょう。
丁寧なコメントが、顧客獲得につながる可能性もあります。
SNSはお客さまとのつながりを構築する貴重な手段という気持ちで運用しましょう。
店舗のブランディングを反映させる
「ブランディング」とは、そのブランドアイデンティティを構築し、強化し、市場に伝えるための一連の戦略や活動を指します。
「ブランドアイデンティティ」とは、店舗に対してお客さまに持ってもらいたいブランドイメージのことです。
自店舗が大切にしているコンセプトや想い、価値観がお客さまに伝わる状態が、ブランディングが成功している例です。
SNS運用の際には、
自店舗のブランディングが反映されているかをチェックしましょう。
ブランディングを基準に考えると、発信するコンテンツに一貫性が生まれます。
反対に、ブランディングが反映されていない発信は、見る人に不信感を与える場合があるので注意しましょう。
ブランディングについてはこちらの記事で詳しく解説していますのでチェックしてくださいね。
【飲食店向け】ブランディングとは?お客さまに選ばれるお店になるためのポイント
まとめ
この記事ではお菓子屋さん・パン屋さん・カフェ・飲食店においてSNSが集客に効果的な理由やSNS集客のメリット・デメリット、SNS集客を成功させるためのコツについて解説しました。
SNSは集客にもお客さまとのコミュニケーションにも使えるという、店舗経営にとって強力な武器です。
お店にあったSNSを選び、継続して運用を行えば、高い集客力や売上アップが期待できます。
解説したポイントを踏まえて、SNSを集客に活用されてみてはいかがでしょうか?
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