お菓子屋さん・パン屋さんの経費の中で、特に大きな割合を占めるのは食材原価。
あなたのお店では原価管理ができていますか?
「原価率をよく把握できてない」
「どうやったら原価率を適正化できるのかがわからない」
とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
適切な原価管理は、店舗経営を健全に続けていくために不可欠です。
この記事では原価率の基本知識から計算方法、原価率を適正化させるためのポイントなどを詳しく解説します。
これから開業される方や、原価管理の基本について知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
経営の指針に重要!原価と原価率
原価とは?
お菓子屋さん・パン屋さんにおける原価とは、商品に使う食材費のことを指します。
商品を包装する場合はそのパッケージ代を含めて考えます。
健全な店舗経営のためには、原価を適切化させる工夫が必要です。
原価が適切かどうかを図るために「原価率」を算出します。
原価率とその求め方
原価率とは、売上高に対する原価の割合を示す数字です。
原価率が高いと利益は出にくく、反対に原価率を抑えられると利益は高くなります。
計算式は以下の通りです。
例えば、売上高が100万円で売上原価が30万円だった場合は
300,000÷1000,000×100=30
原価率は30%ということがわかります。
原価率の目安
お菓子屋さん・パン屋さんの場合、原価率の目安は
30~35%です。
経営方針によって最適な原価率は大きく変わるため、あくまでも目安数値です。
原価と人件費のふたつは「FLコスト」と呼ばれ、経営において重要な指標とされます。
お店の利益を確保するために
FLコスト」は60%以内に収めることが理想的。
そのため、原価率の目安が30~35%に設定されています。
「FLコスト」についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、参考にご覧ください。
店舗経営に重要な「FLコスト」とは? 適切な管理が成功のカギ
健全経営のためには、原価管理が重要
原価や原価率の概要について説明しました。
なぜ、原価率の把握が重要視されるのかというと、原価管理を行う理由は、適切な店舗経営戦略を立てるためです。
商品の販売価格や経営戦略の立案において、重要な指標となります。
原価管理をおおざっぱにしている場合、商品に対して適切な価格設定ができません。
また、原価の上昇や、売上の低下が起きた場合、その変化に対策できない場合があります。
原価率をきちんと把握している場合は、原価率をもとに商品の価格設定ができるため、適切な利益を得られます。
利益が確保できていない場合、原価率を悪化させる原因を究明し、対策を打てます。
原価率の把握とその管理は、経営を黒字化する上で欠かせないのです。
原価率を考える上での注意点
原価管理を適切に行うために、注意すべきポイントがあります。
歩留まりを考慮する
原価を考えるとき、食材の「歩留まり」を考慮すると、より正確に原価率を把握できます。
歩留まりとは、仕入れた材料のうち実際に使用できる部分のことを指します。
果物のオレンジを例とし、歩留まりについて考えてみましょう。
オレンジの皮部分は廃棄し、使用するのは中身の部分だけだとします。
【例】
1㎏=600円のオレンジ
オレンジの歩留まりは60%(廃棄率が40%)
つまり1㎏のうち400gは廃棄する
使用部分は600g
→オレンジ600g=600円の原価
歩留まりは仕入れたときの食材の状態によっても変わる部分です。
また、調理者の技術によって変化することも考慮しましょう。
在庫を考慮する
食材を仕入れ、当月には使わずに翌月に持ち越すというケースもありますよね。
月締めの売上原価計算では、前月から繰り越された食材・来月に繰り越す食材を考慮して考えましょう。
月締め売上原価=期首棚卸高+当月中の仕入れ高-期末棚卸高
期首棚卸高とは、前期末からの在庫を繰り越した総額。
期末棚卸高とは、期末に残った在庫(翌月への繰り越し分)の総額のことを指します。
より正確に原価管理をするために、在庫管理を欠かさず行いましょう。
原価率を適正化させるポイント
原価率を適正にコントロールするためには、原価率を把握することと、原価を抑えるための工夫が必要です。
ここからは原価を抑えるポイントをご紹介します。
レシピ表を作成して、原価を把握しやすくする
商品それぞれのレシピ表を作成すると、原価管理に役立ちます。
レシピ表があれば、使用食材の量が一目でわかるため、原価率が計算しやすくなります。
レシピ表を作る際は、商品1つ当たりの使用食材の量をg(グラム)単位で設定しましょう。
以下のような手順で、商品1つ当たりの原価を算出できます。
- 商品1つ当たりに使用する各材料の重量を計算する
- 各材料について、1g当たりの原価を計算する
- 1と2をかけて、それぞれの材料の原価を計算する
- 計算した値を全て合計すると、商品1つ当たりの原価が計算できる
Excel(エクセル)などの表計算ツールを使用し、原価計算表 を作成しておくと、管理がしやすくなるのでおすすめです。
レシピ表を活用すれば、簡単に食材の使用量とその原価が把握できますよね。
また、材料の使い過ぎを防ぎ、ムダな出費を抑える効果も期待できます。
ロスを削減して原価率を抑える
お店でどのくらいのロスが生じているか、把握していますか?
ロスした分の材料購入金額はムダとなり、原価率を上げる要因のひとつです。
お菓子屋さん・パン屋さんで発生するロスは下記のようなものが挙げられます。
- 仕入れ量を誤り、食材を余らせる
- 本来のレシピよりも多い重量で商品を製造してしまう(オーバーポーション)
- 過剰に仕込み・製造を行い、商品が売れ残る
- 在庫管理が行き届いておらず、食材の賞味期限が切れる
- 商品を落とすなどで廃棄する
毎日のロスをチェックすれば、より正確な原価を把握できます。
原価率が高騰した場合の改善策を打ち出しやすくなるメリットもありますので、ロスのチェックを日々の業務に組み込みましょう。
食材が「もったいない」という観点からも、ロスは積極的に削減したいものですよね。
食材のロスを防ぐには、在庫管理が重要です。
在庫管理についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、参考にご覧ください。
棚卸しの目的・やり方とは?在庫管理を適切化し原価率を改善しよう
仕入れ先を見直して原価率の改善を図る
仕入れコストは、仕入れ先やその状況によって左右されます。
適切な仕入れができているか定期的に確認しましょう。
例えば新規に見積もり依頼をし、現在の仕入れ価格と比較検討をするのもひとつの手です。
仕入れ量が決まっており、保存が可能な食品の場合、必要な分をまとめて仕入れる方が、仕入れコストを抑えられる場合があります。
仕入れ先に交渉してみましょう。
同じものを仕入れ続ける場合でも、定期的に仕入れを見直すことが、原価率改善につながります。
販売価格を見直して原価率を適切化させる
近年、問題となっている食品や原油の高騰。
原材料価格高騰が一時的なものではない場合、商品販売価格を据え置いたままだと、原価率が上昇して利益を圧迫していまいます。
原価率悪化によって利益を得ることが難しくなる場合は、適切な価格への改定を検討しましょう。
急な販売価格の引き上げは、顧客離れが起きる原因となるため注意が必要です。
店頭POPやホームページなどで事前告知し、余裕をもってお客さまに案内しましょう。
まとめ|原価管理を実施して安定した経営を目指そう
この記事では、原価管理を行う重要性やポイントについて解説しました。
原価管理は店舗が利益確保し、堅実に経営していくために必須です。
まずはお店の売上原価を算出し、適切な原価率かどうかを把握しましょう。
お店が目指す原価率の目標を設定し、原価管理を実施します。
原価管理を行う際は「原価率を適正化させるポイント」でご紹介した点を意識してみてくださいね。
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